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新一万円札の顔 ~ 渋沢栄一 岐阜県中津川市にゆかりの地
7月3日に発行された新たな紙幣。このうち1万円札は、渋沢栄一の肖像がデザインされています。彼の県内ゆかりの地、中津川市を訪ねてきました。
1万円札の肖像に選ばれた渋沢栄一は、生涯に500もの企業の設立に関わった実業家で、近代日本経済の父といわれます。
渋沢が設立に携わった一つが、中津川市の製紙工場 中央製紙、現在の王子エフテックス中津工場です。
明治時代に地元の有志から、恵那山から流れる良質な水質の中津川と豊富な木材を活用した製紙工場の建設計画が起こります。
当時、王子製紙の代表だった渋沢はこの計画を支援し、工場は1908年、中津川沿いに営業を開始しました。
その中津川の上流にあるのが恵那神社です。古くから、木曽や東濃地方の総社として崇敬され、源義仲が平家討伐にあたり太刀を奉納した由緒ある神社です。
ここには、渋沢自らが神社の名前を書いた額(神額)が掲げられています。その理由を梅村幸司宮司に聞きました。
※恵那神社 梅村幸司宮司
「渋沢は起業するにあたり、きちんとその地元の神様にご挨拶をして、お許しを得てからやりたいということで、こちらにお詣りに来ました。その時に非常に感動され、ここで揮ごうするということを、地元の方からもお願いされて、快く引き受け、それがいわゆる扁額、神額になったと伺っております」
神額の左には、「従三位勲一等男爵渋沢栄一書」と書かれていることから、奉納は1911年と推測されています。
また、右上には、「人間貴晩晴(にんげんばんせいをたっとぶ)」と渋沢の座右の銘が書かれています。
梅村宮司は「製紙工場の設立がその後の中津川市の産業発展に大きく寄与し、現在の工業都市中津川市の礎となった。これからも彼の功績を伝えていくのが我々の使命」と話しました。
恵那神社は8月、市内で行われる夏祭りで、渋沢ゆかりの場所である恵那神社と王子エフテックス中津工場、そして十六銀行中津川支店を結ぶ聖火リレーを企画。現在、市民ランナーなどを募集しています。
昨今、工場も多く立地して、ものづくりのまちとしても発展する中津川市。渋沢は企業の設立のみならず、まちの振興にも大きな足跡を残した実業家でした。