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医療現場の人材不足解消へ 外国人材とともに患者を支える 岐阜市の河村病院
深刻化する介護分野の人材不足に対応するため、国は2019年に外国人の在留資格「特定技能」を創設して、外国人材の受け入れを拡大しました。この制度を活用して人材不足の課題に向き合う岐阜市の病院を取材しました。
岐阜市にある河村病院です。1984年に開院。地域の医療ニーズに応えるため、一般病棟のほか、障がい者病棟や回復期リハビリテーション病棟、療養病棟を有する病院です。このほか、介護老人保健施設やリハビリテーションなど多くの関連施設を有して、地域の医療・福祉を支えています。
患者に笑顔で接するのは、看護補助者として働くミャンマー国籍で特定技能のジンさんとスさんです。今年9月、河村病院に入りました。
※ジン マー ウィンさん
「私はミャンマーで、介護の仕事をボランティアでしたことあります」
※ス ス モンさん
「毎日、自分のおばあさんの食事の介助とか入浴の介助とかしたことあります」
ジンさんとスさんのほか、ウィンさんとタさん計4人が働いていて、10月からさらに2人が加わりました。彼女らは配膳のほか、着替え、シーツの取り換え、排せつや入浴の世話など幅広く患者の日常をサポートしています。
河村病院における外国人材受け入れの狙いを、看護部長にあらためて伺いました。
※河村病院 看護部長 藤本雅子さん
「やはり人がいないというところからのスタートでした。これは看護師だけではなくて、看護補助者というところにおいても、やはり高齢化になっていたりとかするところで、人がいないというところからのスタートでした。そういうこともあって、たまたま私たちは関連施設がありますので、そこで働いている補助者さんたちを見せていただいた時に、私たちの病院の中にその人たちを採用できないかと相談したら、いいですということで、面接が始まって、今に至ります」
外国人材の受け入れには、言語やコミュニケーションの壁、文化の違いなどが課題と言われていますが、現場ではどうだったのでしょうか。彼女らと身近に接する副師長に聞きました。
※河村病院 看護部副師長 林香奈子さん
「大丈夫?コミュニケーションできる技術大丈夫?という言葉で結構不安の声がすごく聞かれていたのは事実です。私自身もどう関わっていっていいのか分からなかったので、悩んだところもありましたけど、実際出会って、意外と日本語も上手で。ただし、医療用語になるとなかなかちょっと理解が難しくて、はじめの1カ月はうまく会話が成り立たないことも多々あって、苦労したところはあります」
そこで、彼女らが理解しやすいように比較的読みやすい「ひらがなやカタカナ」を名札などに貼るなど工夫しました。また、彼女らの前向きで一生懸命な姿に、患者からも感謝の声が届くそうです。
※河村病院 看護部副師長 林香奈子さん
「(患者からは)『本当によくやってくれているから優しく接してな』と言われたりとか、『本当によくやってくれて助かっているから、本当にありがたい』と言ってくださる患者さんが多いです」
さらに日本人スタッフにも、新しい動きが生まれたと話します。
※河村病院 看護部副師長 林香奈子さん
「(私たち日本人スタッフが彼女らに)いろんなことを指導しながら、自分自身を振り返る、見直すことができるようになってきたのかなと思います。負担もかなり軽減できていると思いますし、スタッフ自身も余裕がでてきて、スタッフ同士のコミュニケーションも良くなってきて」
特定技能の受け入れ期間は5年間で、介護福祉士の資格を取得すると最終的には永住も可能です。ジンさんとスさんは将来の夢をこう語ってくれました。
※ジン マー ウィンさん
「将来の夢は日本で5年以上働いてミャンマーに帰ります。ミャンマーに自分の老人ホームを開きたいです」
※ス ス モンさん
「わたしは病院で長い時間働いて、いろいろなやり方を勉強して、母国に帰ったら老人ホームを開きたいです」
スキルを積んで母国の介護に役立てたいと意気込む2人と 彼女たちの夢を後押しする病院。人材不足による医療福祉現場の危機が叫ばれる中、外国人材の活用が持続可能な医療サービスの提供につながることが期待されます。